福音のために
「わたしもあなたを罪に定めない。
行きなさい。
今からは決して罪を犯してはなりません。」
ヨハネ8章:11節
<福音のために> 使徒16:1~5
パウロたちは、一刻も早くルステラに辿りつきたいと道を急ぎます。その理由は、 そこが以前宣教した際に石打ちの刑にあった場所であった為、そこに残してきた兄弟姉妹の様子が気になったからです。パウロは、自分が福音を伝えた相手のことを一日も忘れることなく、彼らの信仰が守られるように祈り続けていました。 神様が必ず彼らを守ってくださると信じ委ねていても実際に会うまで安心できません。また、ルステラ訪問にはもう一つ大切な目的がありました。それが同行者の獲得です。パウロは、異邦人宣教のために、テモテが用いられると考えたのです。なぜなら、テモテは、ユダヤ人の母親によって幼い時から旧約聖書を通してまことの神様を畏れる者に育てられていました。 さらに、彼の父親はギリシヤ人であった為、テモテはギリシャ語に堪能であり、異邦人宣教にその能力が用いられるからです。そして、何よりテモテがルステラとイコニオムとの兄弟たちの間で評判の良い人であったこともパウロの目に留まった理由の一つであると考えられます。
神様は、マルコを伝道旅行に同伴させるか、させないかでバルナバという強力な助け手を失ったパウロにテモテという有力な助け手を予め備えてくださっておられたのです。ところがここで一つの問題が生じてきます。それは、テモテが割礼を受けていなかった点です。パウロがテモテに割礼を受けさせた理由は二つ挙げられます。一つ目は、ユダヤ人の多くは割礼を受けていない人を一人前のユダヤ人として認めません。一人前のユダヤ人として認められないと一緒に食事をするなどの交わりに参加することができません。二つ目は、ユダヤ教の会堂で説教する場合、割礼を受けている必要がありました。 この二つの障害をクリアーするためにパウロは、テモテに割礼を受けさせたのです。パウロは決して「救いに割礼が必要である」と考えを変えたわけではありません。ただ「何とかして福音を人々に伝えたい」と考えたのです。テモテも、パウロの考えに同意して割礼を受け、パウロと共に伝道旅行に同伴する決断をします。パウロもテモテも福音のため」ならば何でもするという姿勢で一致していた故に犠牲を惜しむことなく割礼を受けたのです。(Iコリント9:19~23参照)
神様は、私たちが与えられた賜物を喜んで捧げ、福音のために生きる者になるこ とを望んでおられます。出し惜しみすることなく、全力で自分に与えられた使命を果たし、いつの日かイエス様にお会いした時に 「よくやった。 良い忠実なしもべだ」 (マタイ25:21)とのお褒めのお言葉をいただくことができるように、悔いのない日々を選択していこうではありませんか。